相反する答え(九郎)


 白龍の神子、初めて逢った時はただの娘だと思っていた。
 ましてや、そんな華奢な身体でそこまで剣技を扱えるとは思いも寄らなかった。
 確かに俺は舐めていたのだ。女だということでお前を……。
 けれど、今はわかっている。お前が立派な武士だということも、我々を勝利に導く必要不可欠な存在であることも。
 だが、何故だろうな。お前を前にすると俺はすぐに思っていることと違うこと言ってしまう。
 景時にもっと素直になれといわれたが、俺だって別にわざわざ意地の悪いことを言いたいと思っているわけではない。
 自分が誤解される態度をつい取ってしまうことも解っている。
 あぁ、まどろっこしいな。つまり、別に俺はお前のことは嫌いじゃない。
 けど、お前の目には俺がお前に好意的でないように映っているんじゃないかと、少し心配だ。何故心配なのかは、よく分からんが。
 けれど、そういう誤解だけはされたくないのに、いつもお前には辛く当たってしまうらしい。
 だめだな、俺は。お前が優しいのをいいことに、少しお前に甘えすぎてるのかも知れない。まだまだ修行が足りないな。
 どうすればお前にわかって貰えるだろうか。
 素直になるということがどうすれば出来るのか。自分でもよく解らないんだ。
 すまない、俺が不甲斐ないばかりに、お前を傷付けてしまっているな。
 だが、いつか素直になれれば、今度こそお前に俺の正直な気持ちを伝えてみせる。
 だから、もう少しだけ待っていてほしい。
 俺が俺という答えを見つけるまでは。



遙かなる時空の中で