哀切を胸に秘め(敦盛)


 苦しい、この力を使うたびに貴方を欺いている自分が。
 怨霊の身として存在している私が、いつか貴方さえも害する存在になってしまうのではないかと、いつも怯えている。
 強くあらねばならぬというのに、私は怖いのだ。
 この身が貴方を傷付けてしまうのが。
 悲しみに包まれた自分を自覚するたびに、やはり私は怨霊なのだと思う。
 そして、貴方が怨霊を封印するたびに、私はそれが羨ましい。
 あの者たちはもう二度と、神子を害することはなくなるのだから。
 いっそ、私も封印して欲しいと何度願ってきたことか。
 けれど神子はそれを受け入れてくれるだろうか。八葉としての任を担っている私を封印するなどと。
 神子は優しいから、きっと反対するだろう。
 だが、この辛さを解ってもらえたら、封印してくれるかもしれない。
 しかし、それは私が逃げることを意味する。怨霊を作り出している叔父上はまだこの世にいるのに、自分だけが楽な道に進むことは出来ない。
 私は全てに決着を付ける。そして、いつの日か、この身を神子に封印してもらうまで、私は戦い続けよう。

 貴方を守る、八葉として。



遙かなる時空の中で