八葉日記(某月某日)

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将臣/九郎/ヒノエ/弁慶//景時/敦盛/リズヴァーン//白龍


八葉日記(某月某日)

(遥かなる時空の中で3+十六夜記)

ネタバレがございますので、十分ご注意ください。
譲が相当キモキャラですので、そちらもご注意ください。



 -将臣-

 この間、譲の日記を読んだ。兄としてはまあ、正直色々と問題があったことを認めざるを得ない内容であったことは否定しないが、起きちまったもんはしょうがねえ。弟の成長を(生)温かく見守るだけだ。
 ところで、リズ先生と敦盛が溜息をつく回数が増えた気がする。何があったんだか。まったく水臭いだろ、言ってくれればこっちだって相談に乗るっつーのによ。
 とにかく、あいつにもあんま譲の奴を虐めんなよって小突いて言っておいたが、額を押さえながら呻いていたアイツが「虐めてないよ。虐めてるのは将臣くんの方じゃないの!?」と逆ギレし始めたので逃げてきた。後頭部に軽く回し蹴りが飛んできたが髪先掠った程度で逃げられて本当にラッキーだぜ……それにしても、今日の足技のキレはすごかった。髪の毛が少し切れたぞ。
 アイツの眼と足技は日ごとにキレが増してくな。女としてそれもどうかと思うが、むしろそんなの磨くなら剣技磨けよっつー話しだが、まあこれも個性だよな。オールオーケー!





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八葉日記(某月某日)

(遥かなる時空の中で3+十六夜記)

ネタバレがございますので、十分ご注意ください。
譲が相当キモキャラですので、そちらもご注意ください。

 -九郎-

 今日はアイツに殴られた。
 今朝からアイツの機嫌が悪かったことが要因だと思う。
 目線があったが最後、取り殺されるんじゃないかと思うほどの殺気を滲ませていて、俺は何故そのような目で見られなければならないのか、皆目検討もつかん。八つ当たりもいいところだ。
 説明できるのであれば、誰かに説明してもらいたいくらいだ。
 そもそも、何故俺が殴られなければならない。
 俺はただ、アイツの機嫌が直るようにと思って、今朝鎌倉から兄上が送ってくださった大根を見て「ほら、見てみろこの大根見違えるような太さだろう。まるでお前の足のよう(にしっかりしていて白く美しいん)だな」と言っただけであって、殴られる謂れなどない。褒めてやったのにまったく、全然気づかないとは鈍いにもほどがある。
 とりあえずアイツが笑顔で「だいなまいとくらっしゃあ★」と叫んだ辺りからの記憶が無いため、起き抜けに弁慶にあの後のアイツの様子を聞いたら「あれは照れ隠しですよ」と言っていたので、上手いこと通じていればいいんだが。まあ、でも弁慶直伝の女性の胸にグ(ハ)ッと来る言葉なので、問題はないだろう。……たぶん。
 明日、ごぼうが届くはずなので今度はそれでアイツを褒めてみようと思う。




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(遥かなる時空の中で3+十六夜記)

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譲が相当キモキャラですので、そちらもご注意ください。

 -ヒノエ-

 今朝から俺の神子姫さまの機嫌が悪い。
 おさんどんの譲に向かって朝から元気に

「くたばれ★(笑顔)」

と顔面に膝蹴り+踵落としをかましてたんだが、その後にも何かあったのか?
 どうでもいいけど、譲はあの距離で「すかぁと」って奴の中が見えなかったんだろうか。まったく、俺の姫君は無防備で困っちまうぜ。まあ、中が見えてたら譲の命はねぇけどな。いや、俺だけじゃなくて他の八葉が黙っちゃいないだろうってこと。何より、神子姫自身の鬼の鉄槌が下ることは間違いないだろうね。
 ああ、ただ約一名はまったく空気読めてねえ奴がいたな。アイツも全然成長しないよなあ、攻め方が単調すぎて見てて憐れだぜ。もっと姫君の心を掴むようなグッと来る言葉とか言えないもんか。
 それにしても、本当に神子姫様の機嫌が悪い。俺も思わず声をかけるのを躊躇ったくらいだからな。さてと、どうやって神子姫の機嫌をとろうか。今度六波羅の市にでも連れてって、アイツに似合うかんざしでも贈るってのはいいかもしれない。そうしよう、それで六波羅のあとは(以下、延々とデートコースについて熟考してあるので割愛)




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(遥かなる時空の中で3+十六夜記)

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 -弁慶-

 我らが神子は本当に見てて飽きないですね。今日もまた九郎を爽快に殴り飛ばしているので、思わず「すごい殺気ですね」と言ったら標的がこちらに移り変わりそうな目で睨まれたので、早々に退散させていただきました。
 それにしても、空気の読めない男というのは強いですね。それと共に、天然もある意味最強です。敦盛くんが告げていた譲くんの最期の言葉とやらで、彼女の目の色が鬼人の如く変わったのを僕は決して忘れません。その後こちらに気づいた彼女が手をボキボキ鳴らしながら「盗み聞きなんてはしたないですよ? いっぺん…死んでみる?」と言うので、僕が死んでもまったく意味がないことを説き伏せてから譲くんの居場所を教えました。自分で言うのもなんですが、今日ほどウソをつかなかった日はありませんよ。
 ついでに、目障りな甥も一緒に始末してくれないかと思い、あることあること(*あることないことではない)の重要な部分を省いた説明を彼女に耳打ちしておいたので、そのうち鴨川の下流から彼に似た土左衛門が上がるかもしれません。とても楽しみです。念押ししますが、僕はウソはついてません。誠実な人間ですから。
 明日は一体どんなことをしてくれるのか、そう思いを馳せるこの時間がとても好きなんです。




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八葉日記(某月某日)

(遥かなる時空の中で3+十六夜記)

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 -譲-

 どうしてこんなことになっているんだ。
 放課後の保健室、具合が悪いという先輩の様子を見に来たのがきっかけで、こんな先輩が馬乗りになるような状況ではなかったはずだ。
 俺は冷静に考える。その間も、先輩の吐息が俺の耳をくすぐるようにして、クスクスと笑う。
「どうしたの?びっくりした?」
「先輩、どうしたんですか?これは一体……」
「どうしたもなにも……わたし、知ってるんだよ。譲くんのキ・モ・チ。ねえ、わたしと気持ちいいことしたいんでしょ?」
 先輩は自ら制服のリボンを緩めると軽い音を立ててそれを落とした。シーツの上にポスッと落とした音が誰もいない無音の部屋に響く。
「具合が悪いなんてウソ。本当は譲くんが心配してくれるのわかっててこんな方法とったの」
「先輩……?」
「わたしね、譲くんが好きだよ。だから……譲くんの望みを叶えてあげる」
 今度は制服のブラウスに一つずつ手をかけていく先輩。
「先輩、ダメです!そんな……!」
「何を躊躇ってるの?躊躇うことなんて、何もない……よね?」
 起き上がろうとした俺を力強く押し戻す先輩。だが、その顔に不意に不安が混じる。ああ、俺はこの人を今不安にさせてしまった。先輩はただ、俺との愛を確かめたかっただけだというのに。
 先輩のブラウスの ボタンが全てとられる。その下に見えた神秘のヴェールに俺は思わず目を逸らす。
「ダメ、ちゃんと見て」
 ベッドの上に立ち上がった先輩は、そのままスカートに手をかけてそのジッパーを下ろ
(以下血痕と破り捨てられていたため読了不可)




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(遥かなる時空の中で3+十六夜記)

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 -景時-

 あはは〜、最近家の中が賑やかで嬉しいよ。
 今日も朝からあの子と譲くんは仲良しだったし、九郎ともじゃれていたし、敦盛くんとも話してたみたいだし、先生は温かく見つめてたし、将臣くんは彼女の額を小突いてたし、ヒノエくんや弁慶とも楽しそうに話してたなあ。
 ……………………。
 ……………………あれ?
 ……………………俺は?
 俺だけじゃないかな? 今日一日でこの邸の(一応)主である俺だけ、彼女と話をせずに終っちゃったのって。
 最近、気づくと彼女と話せずに終ってしまうことが多い。どうしてだろう。
 俺の中の何かが近付いたらヤバいってどうしても思っているんだよね。
 もしかして……これって…なのかな。
 え、こここここ、恋!? そんなバカな!
 恋とかそんな……! 確かにあの子に会うと動悸息切れ冷や汗が止まらないけれど!
 でも、あの子はみんなの神子なんだから、俺みたいなのがでしゃばっちゃいけないんだ。俺はいずれ、あの子を傷つけるかもしれない。
 たとえば銃口を頭に向けた瞬間太刀で斬られそうなくらい鋭い眼を時折してる彼女だけれど、本当はたぶん絶対間違いなく勘違いだとおもいたいくらいには優しい心を持った子だって知ってるから。
 そうだ、俺はやっぱりこのまま温かく見守っていこう。
 ああ、そうか…今日が俺の失恋記念日って奴なんだ。
 でも、どうかしてるな俺。失恋したのに、気分がとっても清々しいよ。
 結局彼女が幸せなら俺はそれでいいってことだよね。




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 -敦盛-

 わたしは、己の身が怨霊であることを悔やむ。
 今朝、譲殿が土間で顔面から血だらけでいるのを発見した。唯一の救いは健やかな顔をして虫の息だったことだろうか。迎えが近いことは確かだった。
 何故彼はあんなところで倒れていたんだ……まさか怨霊を相手に一人で戦っていたのか?
 あんな目に遭いながらも、仲間を守るために戦った譲殿は立派だと思う。譲殿の最期の言葉「極上の…ほわいと」という言葉は、きっと神子にもお伝えしよう。彼の最期を看取ったのはきっと私だけだろうから。神子も彼の最期の言葉を知っておく必要があるだろう。
 しかし、どうして譲殿がこんな目に……やはりこれも私が怨霊なせいで龍脈が乱れた結果なのだろうか。だから、本来結界の張られているはずのこの梶原邸にまで怨霊が侵入してきたのだろう。
 なんということだ、では譲殿は私のせいでこんな目にあったということだ。
 わたしは己の身をこれから先も悔やみ続けるだろう。早くこの穢れた身を清める時を迎えることが一刻も早く来るように今は願うしかない。




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 -リズヴァーン-




 ……何故、この運命を選んだのだ。








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 -朔-
 最近家の中が賑やかだけれど、今日ほどそこら中で血痕を見た日はないわ。
 貴方も女の子なのだから、返り血を浴びるような戦いをしてはダメよ。と、何度も言っているのだけれど、あの子は口よりまず足が出るからしょうがないのかしら。そうね、もし今度同じようなことが起こったら、とりあえずあの子には私が使っていた鉄扇を貸してあげましょう。あの子が気にしていた腕の筋肉も鍛えられてちょうど良いと思うの。
 それにしても、あの子が歩いた後は屍が積まれていくわね。春の頃よりもずっと多くなったのではないかしら。それに、独り言も多くなったわね「九郎さんの分際でよくも人の足を大根足呼ばわりしてくれたわね…絶対シメる」とか、「あんの赤毛!まだ正体隠すなんて面倒なことやってんの!?さらわれる時間が勿体ないんでやめてよ!」とか「最近景時さん影薄いよね…頭よりマシか」とか「腹黒軍師は何考えてるか全然わかんないし…敵に回したら嫌なタイプだけど…決戦は近いかな」とか「あっつん元気無いなー。あとで慰めてあげようかっこ(身体で。なんちゃってー)かっことじ」とか「先生の視線が最近痛い」とか

「あの眼鏡は私刑決行」

とか全部ダダ漏れなの気づいてないのかしら。口は災いの元というけれど、むしろ災いを振りまいているような気がしてならないわ。みんな大丈夫かしら。
 とにかく、暴走しないように見ているのも片割れとしての私の務めね。さあ、明日からもまた頑張らないと。




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(遥かなる時空の中で3+十六夜記)

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 -白龍-

 今日は神子に日記の書き方を教えてもらった。
 神子が「日記を書くことは良いことだから、白龍もやってみる?」と優しく教えてくれたので、私も日記を書くことにしたのだけれど、神子みたいに上手く書けなかった。
 だから、神子に聞いた。どうしたら神子みたいに思い出を美しく文字にしたためることが出来るのか。そうしたら、譲ならきっとそういうのが得意だからと神子が教えてくれたから、私は神子の言うとおりに譲の日記を読んだよ。そうしたら、私には少し意味が解らなくて、日記が…というよりも、人間の言葉がとても難しいということだけは理解できたけれど、とにかく困ってしまった。
 私は日記を他人に見せちゃいけないって知らなかったんだ。ごめんなさい、譲。意味が解らなくて、私は神子にそれを持っていって聞いただけ。
 そうしたら、それを読んだ神子が私に「白龍、暫く部屋から出ちゃダメだよ。わたしがここに戻ってくるまで大人しく待ってられるね?」と言って部屋から出て行った。
 暫くして八葉の気配が一つ消えたけれど、龍脈が穢されてて私は誰の気配かよく解らなかった。ごめんなさい、神子。私の力が足りないせいだね。
 戻ってきた神子はいつもどおりで私は安心した。衣服の端々が少し赤く染まっていたけれど、やっぱり私の神子はどんな格好をしていても素敵だ。
 大好きな私の神子、願わくば幸多くあらんことを。




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