朔 「あら、望美何をしているの?」
白龍「とても綺麗な人形だね」
望美「あ、朔に白龍!これはね雛祭りの準備だよ。ほら、ここを回すとオルゴールになってて音楽が流れ出すの」
雛祭りの曲が流れ出す。
朔 「これはどんな歌なの?」
望美「これはね、雛祭りに起こった悲劇を嘆く歌だよ」
白龍「そうなの?」
望美「うん、そうだよ。歌詞はね、『明かりをつけましょボンボリに〜ドカンと一発HAGE頭〜5人ばやしも禿げちゃった〜今日は悲しい雛祭り〜♪』ってね」
朔 「まぁ、悲しい歌なのね」
望美「もっと悲しい歌もあるよ『明かりをつけたら消えちゃった〜お花を上げたら枯れちゃった〜5人ばやしは死んじゃった〜今日は悲しいお葬式〜♪』……ッダ!!」
ズゴン!!
将臣「嘘を教えてんじゃねぇ」
譲 「先輩……またそうやって純粋な人をからかおうと……」
九郎「嘘なのか?」
敦盛「嘘なのか?」
*ステレオ音声でお楽しみください。
将臣「そんなあからさまにホッとされても……ってか、信じるなっ! コイツの言うこと全部信じていい結果にならなかったことをいい加減に覚えてくれ!」
弁慶「将臣くん、落ち着いてください。僕たちは今回、望美さんたちのお手伝いに来たんですよね」
ヒノエ「まぁ、姫君たちのお手伝いともなれば真面目にやるか。んで、今日は何の日なんだ?」
譲 「今日は雛祭りです。この世界では、桃の節句で女の子をお祝いする日なんですよ」
弁慶「では、こちらに飾ってある人形は?」
譲 「これは雛人形です。こちらの女雛がお雛様。男雛がお内裏様です。こうして雛祭りの日に人形を飾ってお祝いするのが慣わしなんですよ」
将臣「そーそー、ちなみに、人形をしまうのが遅れれば遅れるほど、その分だけ嫁にいけなくなるらしいから望美も気をつけたほうがいいぜ」
望美「え、そうなの?じゃあ準備するのやめ」
将臣「出さなかったら嫁にいくことすら出来なくなったりしてな」
望美「………………ッ!?」(←苦悩に頭を抱えて真剣に悩む神子)
弁慶「まぁ、それについては問題ありませんよ」
ヒノエ「そうそう、姫君が嫁に行くところなら十分に確保してるんだぜ。いつでも俺の胸に」
望美「(スパッ)気持ちだけ貰っとくよ、ありがとう。でも、私お嫁には行かないからさ!」
譲 「先輩、結婚願望なかったんでしたっけ?」
望美「ううん、敦盛さんにお嫁さんに来てもらうからいいの(微笑)」
敦盛「…………っ!? 私は料理が出来ないのだが……」
将臣「もはやどこをどうツッコむべきかわかんねぇな」
譲 「兄さん、つっこんでくれよ……!!(涙)」
朔 「それじゃあ、早めに済ませてしまいましょうか。今日という日が終ってしまっては、意味がないのよね?」
望美「そうだよー。今景時さんとリズ先生に食事の材料は買ってきてもらうから。譲くんはそっち部隊が戻って来次第そっちに移動してね」
将臣「ってか、最初からそっちに行ってればよかったんじゃねぇ?」
望美「それはダメだよ。だって私、譲くんに居て欲しかったんだもん……」←顔を赤らめ俯く。
譲 「(どきん)……先輩、それって……!」←顔が明るくなる譲
望美「この中でまともな雛祭りの解説できるのって譲くんだけじゃない? こっちの事情通は必要不可欠だよね、やっぱり」
譲 「(がぁん)……先輩、それって………」←絶望
将臣「譲、惚れた奴がいつだって敗者なんだ。諦めろ」←ぽんと弟の肩に手を置く兄。
望美「さぁてと、これで準備が整ったね。九郎さんが今飾ってる雛人形を置けば完成ー」
九郎「コレはどうするんだ? ここに置けばいいのか?」
望美「そうだよー。それで完成なんだから、失敗しないようにしてくださいね」
九郎「置くのに失敗も何もないんじゃないか?」
望美「むぅ、いけませんよ。そうやって油断したら、ほら……わっ!!」
九郎「のわっ!」←雛壇に突っ込む九郎
どんがらがっしゃーん!!
望美「もー、何してるんですか? 置くだけなのに失敗しちゃダメですよー。油断してるからこんなことに」
将臣「驚かせたお前のせいだろうが!!」
スパーン!!
望美「将臣くんは少し手加減を覚えるべきだと思う」
将臣「(無視)しっかし、これはまいったなーまた一から飾りなおしだぞ」
九郎「すまない、俺が不甲斐ないばかりに」
望美「まったくです。ちゃんと反省してくださいね」
将臣「お前もだ!!」
スパンスパーン!!
望美「……………ッ!?」
将臣「今からか〜ちょっと時間的に余裕もねェな。急いでやっちまおうぜ」
望美「はいはいはーい! いい考えがありまーす!」
何か思いついたらしい神子に一同怪訝げ。しかし他に良案が出なかったので、結局神子の言い出した結果が取られることになる。ちなみに、七割方がやって後悔することになる。
望美「さぁー! 皆のもの〜! 今日は無礼講じゃ〜! わらわはくるしゅうないぞ! あははははー!」
将臣「テンション有り得ねェな。そんなに嬉しかったのか? お雛様ごっこ」
望美はお手製お雛様衣装着用済み。
望美「さぁ、お内裏様! いっぱい飲んでくださいね!」
敦盛「いや、私はお酒は……」
敦盛もまた望美の愛の練りこまれたお手製お内裏様衣装着用済み。
将臣「望美! お前酒なんてどっから持ってきた!」
望美「将臣くん、今日は無礼講だって言ったじゃない」
将臣「場合によるだろうがッ!!」
譲 「何で敦盛さんがお内裏様なんだよ。こういうのは普通公平にくじ引きとかじゃないのか?」
リズ 「譲、諦めろ。これは神子の決断。私たちは見守るだけだ」
九郎「お前の気持ちもわからんでは無いが、コレは俺が招いた事態だ。せめてものお詫びにこれを飲め」
譲 「ちくしょう! 俺だって萌属性の眼鏡キャラなのに!!」←酒がぶ飲み
将臣「どさくさに紛れて九郎も譲に飲ませてんじゃねェ!!」
九郎「いや、その……どうせ、俺が悪いんだ。だから兄上だっていつだって景時を……うっうっ」
リズ 「九郎は泣き上戸のようだな」
将臣「先生、冷静に観察してねぇで止めてくれよ!」
弁慶「ふふ、こちらの『びぃる』というのはとても不思議な味ですね。でも僕としてはこちらの、『わいん』というのも気になります。果実酒なんですよね」
ヒノエ「なかなか旨いね、これ。まっ、酒は熊野で作ったものには負けるけど」
将臣「それは親父の……! ちゃっかり年代モノのワインを見分けるなんて……さすが熊野組! 油断ならねぇな」
景時「あっはは〜なんか『あるこぉる』ってふわふわしてくるねぇ〜。空を飛んでるみたいだよ。あ、もしかして今屋根から飛び降りたら本当に飛べるかもしれないなぁ」
将臣「無理だ! ウチから死人を出すのはやめてくれ!」
景時「冗談だよ、将臣くん。そんな本気にしないで」
朔 「いつもいってますけど、あにうぇのじょうらんはぜぇんぜんっ! じょうらんじゃないんですよぉ! っていうかぁ、あにうぇの存在自体がじょうらんじゃないんれす! もっとしっかりしてくらさい!」
白龍「ねぇ、将臣。コレが人間の言葉で言う『へべれけ』ということ?」
将臣「白龍、んなこと覚えなくていいから。しっかし、まいったな……どーすんだよこいつら……。正気で居るのは俺だけか?」
敦盛「一応私も正気だ」
望美「はいは〜い、私も正気です!」
将臣「こんなこと思いつくお前はいつでも正気の沙汰じゃないから安心しろ」
望美「わーそんな言い方ってないと思うんだけど」
敦盛「将臣殿、これが桃の節句というものなのか?」
将臣「よそ様の桃の節句はもっとおだやかなもんだ。こんな腐海状態になるのはウチだけであって欲しいぜ」
敦盛「……それもそうかもしれない(惨状を見て遠い目をする敦盛)」
ピンポーン。
将臣「こんな時に客かよ、一体誰が……」
知盛「この世界に客人を迎え入れるという習慣はないようだな。 くっ……、面白そうなことをやるというから来てやったのに……もう宴は終わりか……?」
銀 「残念ですね、せっかく神子様に召し上がっていただこうと『しゃんぱん』というものをお持ちしたのですが……」
将臣「お前らかよ!!」
知盛「感謝しろよ、有川……。この俺がわざわざ出向いてやったんだ。さぞや楽しませてくれるんだろうな」
銀 「私も神子様にお招きされた以上、楽しませて頂きます。本日はどうぞ宜しくお願い致しますね」
将臣「…………………はぁ……もう勝手にしてくれ……」
こうして、知盛と銀も混ざって雛祭りは盛大な酒盛りになった。
翌朝、酒を飲んでいない人と、そして飲んだがぴんぴんしている弁慶、銀(以外に強いらしい。ウォッカもお湯割りだが余裕だった)以外の人たちは、激しい二日酔いに悩まされることになる。また、散らかりまくった部屋の後片付けを主に有川兄弟
が追われることになるのはまた別の話である。
完